一会一生(いちえいっしょう)

広島市東区にある正廣寺(しょうこうじ)副住職の気ままなブログ

8月6日 ヒロシマ

今日8月6日は、今から72年前、広島に原爆が投下された日です。

戦争の悲惨さに学び、平和への願いに包まれる日です。

 

今日たまたま見ていたテレビ番組で、ピカとピカドンの違いについて、なるほどなあと思った内容の放送がありました。

広島の人はみな知っているでしょうが、ピカとかピカドンというのは原子爆弾の俗称です。

原爆が落ちたとき「ピカッ」と閃光が発せられ、その後「ドン」という爆音が響いたところから、被爆当時の子ども達がピカドンと呼んだそうです。

 

余談ですが、昔から広島の小中学校では、原爆の日が近づくと平和学習をします。私が小学2年の頃だったか、あるとき学校で短編アニメ映画「ピカドン」を見せられました。当時ピカドンが何なのかよく分かってなかった私は、「ピカドンというキャラクターの楽しいアニメが見られる」と、アホな考えでワクワクしながら見ていると、ものすごく恐ろしい被爆の描写でビビりまくったことを思い出します。その後しばらく、飛行機の音を聞くと「原爆を落としに来たんじゃないか」と心底恐れたものでした。それくらい子ども心に衝撃的な映画でした。

 

話を元に戻して、私は今まで、ピカもピカドンも意味は一緒で、ピカドンを略したのがピカだと思っていました。多分同じように認識している人も多いのではないでしょうか?

ところがそのテレビ番組の内容は、爆心地から半径2㎞以内で被爆した人は、「ピカッ」という閃光は見たけれど、「ドン」という音は聞いていない。なぜなら爆音が届くよりも早く、爆風の衝撃波によって意識を失ってしまっているから。「ドン」という爆音を聞いた人は、爆心地から2㎞以上離れたところにいた人だということでした。

 

そういえば数年前に正廣寺で、ある方の被爆体験を聞かせていただく講演会をしたことがありました。その方は14歳の時に、爆心地から約2㎞離れた高台で被爆されましたが、その時の様子を、「空中で大きな火の塊のようなものがはじけ、中からどろどろに溶けた溶岩のようなものが流れ出て、急激に目に閃光が突き刺さった。同時に炎のような熱風が顔を覆い、それっきり分からなくなった」とおっしゃいました。その方も「ピカドンというけれど、ドンという音は聞いていない」と言われたのが印象的でした。

 

また、私は子どもの頃に祖母から「縁側におったときにピカが落ちたんよ」と聞かされました。当時、正廣寺は今の広島市西区天満町辺りにありました。爆心地からは1.5㎞くらいのところです。本堂も庫裏もなくなりました。今思えば、祖母もドンという音は聞いていなかったのかもしれません。

 

ピカかピカドンかは被爆した場所によって違う。こういったことも継承していくべきことだなとあらためて思った、今年の8月6日でした。